日本メーカーの携帯端末CMは時代遅れな気がする

カテゴリー: WEB


ドコモと auの今冬Androidフラグシップ機としての期待と使命と予算をかけた富士通のARROWSが大ヒットで、まずは国内メーカー勢としてもホッとしてるのかなあと思います。

arrows_logo.jpg

発売されたことでいろいろ使用感レポが上がってきていますから、ハード面の話は他に任せて私の方はちょっとCMに注目してみました。注目してみましたも何も、11月12月はGREEとARROWSのCM大量攻勢のおかげでEXILEがお腹いっぱいw

さてこのCMを見比べると、国内キャリア&メーカーの意識の低さを改めて痛感します。




まず時代はSpecからExperienceへ、つまり[性能競争の時代]から[体験満足度の時代]へ移り変わっているわけです。

CPUやGPU,HDD容量やバス速度がムーアの法則で倍々に性能アップし、各パーツをしょっちゅう買い換えて自作PCのベンチを見て喜ぶ・・・なんて時代はとっくに終わっているわけです。
もちろん各パーツの性能向上や新仕様の採用で、ハードとしての性能アップは一定のペースで必要です。しかし現在はそれ以上にOSやアプリ、サービスの広がりでもの凄いスピードで我々のライフスタイルやビジネスモデルが変化する時代です。

つまりカタログスペックでハード性能の競争をしていてもあまり意味はなく、実際使ってどれだけ快適か、どれだけ便利か、どれだけ自分の生活が変わるのか、そういうところにユーザーの意識が移行しています。

CPUや液晶、GPUなどの個別パーツレベルではiPhone4Sを凌ぐAndroid端末が出てきているのですが、実際使ってみたらiPhone4Sの方が全然使いやすい、ストレスがない、便利の度合いが違う・・と言ったことが起こるのは、あちこちで言われているようにAppleが目指すのは製品としての使い勝手だからです。

この辺の前置きを踏まえて各社のCMを見てみると・・・

【ARROWS X】
http://www.fmworld.net/product/phone/arrows/#flv
ドコモのXはEXILEです。
・より自由へ(センシングテクノロジー、バイオメトリックスセキュリティの文字が背景に)
・より人へ(キーボードを空間で切り開く意味不明な動作)
・より未来へ(ただタッチして意味不明なエフェクト)
・次の時代へのハイスペックスマートフォン 始動!

15秒CMですがヒドイですねw
有名人であるEXILEがCMツクリテの思う近未来(映画:マイノリティリポートに影響されました的なw)で決めポーズを取ってるだけで、しかも意味不明な横文字の羅列。下手なおっさんのプレゼンかよとw 日本語でOK。
単にハイスペックだと言っただけで、コレ見てユーザーの体験をイメージできるでしょうか。

【ARROWS Z】
http://www.youtube.com/watch?v=8n-PWLhU-mI
こちらはauのARROWSで三浦春馬出演。
・WiMAX搭載でダウンロードが速い
・デュアルコアCPU搭載で操作が快適
・切り替えなしで文字入力がスムーズ
・カメラも更に高画質(1310万画素 高画質の文字)
・ディスプレイも鮮やか(1677万色フルカラーHDディスプレイの文字)
・しかも防水
・auからWiMAX搭載、防水ハイスペックスマートフォン 登場

これ30秒だからたくさん盛りこんでます。Xよりはイメージ湧きやすいですが、いわゆるスペックを羅列しているだけです。やっぱり有名人が操作しているんですが、現実的なシチュエーション(防水のくだり除くw)で見せてるのでまだましですね。

もう一つ。
【Galaxy SII】
http://www.youtube.com/watch?v=3KfaQtZ9rHg
もう面倒なので詳細は書きません。60秒のCM動画ですがスペックしか訴求してません。
金かかってなくていいですねw

Galaxyはサムスンの作った世界向けCMでは個別のユーザー体験を訴求するようなCMを作っているので、ドコモが絡む日本向けだけこのようなスペック羅列CMなのかも知れません。

さて、ではAppleのCMはどうかと言うと。

【iPhone4S】
カメラ編
iCloud編

カメラ編では高画質だというスペックの良さを最初に言いつつ、撮るだけではなくトリミングや修正、Twitter投稿まで即座にできることでこんなに楽しい世界があるよと言っています。
しかもユーザー目線なので、有名人がどこか自分の違う世界で偶像的に操作しているような見せ方でもありません。

また難しい横文字やスペックを羅列することもありません。せいぜい「8Mピクセルの光学システム」というワード程度。家族旅行がこんなに楽しくなるでしょ・・という一連の体験をコンパクトに15秒で提示しています。

もう一方のiCloud編は、今回のiOS5で導入された一番の目玉でもある機能で、iPhoneだけでなくiPad、Macと組み合わせればライフスタイルまで変わるかも知れないサービスです。
これも難しいワードは「アイクラウド」の一言のみ。なんだかよくわからない人でも、外で読んだ本のしおりが家のマシンで同期されていたり、撮った写真が自宅にあるPCに即コピーされれば便利かも!と思いますよね。

iPhone4Sはスペック的にもかなり進化していて、そこを羅列しても十分CMとしてアピールポイントはあります。
でもAppleは一切そういうCMを今は作らない。今はもうそういう時代じゃないから

今までもFaceTime編やRetinaディスプレイ編、各種アプリ紹介編という感じで、iPhoneを使えばこんなに便利な世界が待っているというCMに徹しています。これはジョブズのプレゼンもそうで一貫しています。
タレントを使った単なるスペック紹介は今の時代は無意味だと思ってるのでしょう。個人的にはラーメンズ使って欲しいけどw

ちなみに11月にこれまた急にCM本数を一気に増やしたソニータブレット。微妙に惜しい一本w
http://www.sony.jp/tablet/myhome/
最初の入りが「♪プレイステーションに燃える、パズル、ハマる」でアウトw
こんなもんPSゲームがしたい層が買う商品なワケがなく、何故これを最初に・・とマジで意味が分からないCM。

スペック羅列CMよりはマシな気がするけど、家族に見えないパパ、ママ、娘が全然別の使い方を紹介するから何が便利かよくイメージできない。大体一家に3台も買う商品じゃないんだから、誰に買わせたいかイメージして家族の体験向上を訴求すべきだと思う。

iPhone4Sも家族の体験向上に重きを置いたのでカメラ機能を訴求したけど、これを売りたい相手はお父さんかお母さんで一目瞭然なわけですよ。お父さんかお母さんどちらかがiPhoneを買って、子供の写真を撮って修正してTwitterにアップできるという一連の体験のみに絞ってるからイメージしやすい

子どもがソニータブレットなんぞ買わないのだから、家族の体験向上に訴求するならまず最初はお父さんにフォーカスして、ソニータブレットで家庭がどう楽しくて便利になるかをリズミカルにやればいいと思う。
バックの音楽や雰囲気はいいのに凄くもったいないCMだと思いました。

このCM1つ見ても、ソニータブレットがプレイステーションゲームが出来る・・程度しか他のアンドロイドタブレットと差別化できてないんだなあと思わせています。

ソニーはウォークマンのCMは逆に訴求内容を絞っていて分かりやすいし、体験をうまく伝えているように思います。

とまあ、ツラツラ書いてきましたが、改めて国内メーカーのスマートフォンCMを見ていくと、スペック重視の意味不明の横文字を並べてただただ速い、凄いとしか言ってないんですね。
日本のメーカーは、スペックに関してはカタログや専門誌、WEB記事に任せて、マスに訴えるTVCMではもっと簡単に分かりやすく、こんなに楽しそうな事ができる、素晴らしい体験が待っているんだよと語るべきだと思います。

Arrows Xのような低レベルな割に金のかかるCMはもういい加減やめた方がいいと思う。
こういうCMを見るだけで海外メーカーとは差があるなあと感じてしまいます。EXILEには何の落ち度もないんだけどw

あと高性能なスペックを訴求する割に、自身でクソ重いウィジェットとか積んでカクカクさせると言う相変わらずの迷惑行為でユーザー体験を逆にダウンさせている点は本気で反省した方がいいと思う・・・

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2011/12/29(木) 15:11 | trackback(0) | comment(2)

sho

URL | [ 編集 ] 2012/01/13(金) 22:40:52

とても同感します。私は48歳のおっさんですで、Macを使い始めて、20年以上経っています。Macがダメな時もありましたが、Windowsと違ってハードウェアスペックをユーザーに訴えていないところが、好きで今まで使っています。今のAndroidを見ると結局Windowsと同じように、各社同じOSを使っているので、結局ハードウェアスペックの数値の競争になってしまうのでしょうね。
ただ、Androidはバージョンが複数あり、その上、メーカーで手を入れているので、無茶苦茶ですよね。私の知り合いのソフトウェア開発の役員がAndroidは手がかかるとおっしゃっていました。特に大阪のS社のAndroidはいじくり回されて、互換を取るのが出来ないとおっしゃっていました。
App Storeが100%正しい方式とはいいませんが、Androidマーケットはひどすぎますよね。
MSがWindows PhoneでAppleのようにソフト管理をするので、私個人としてはMSに頑張ってもらって、Appleと切磋琢磨してもらいたいのですが...
やっぱり、ユーザーを困らせてはいけませんよね。

熊谷順司

URL | [ 編集 ] 2012/01/14(土) 14:57:45

こちらもコメントありがとうございます。

Macユーザーとして大先輩ですね!  私はまだ1年経ってないです・・ただiPod初代からiPhoneまでずっと使っているので、Apple自体は好きでした。

確かにAndroidは採用メーカーが多数あって、各々がウィンテル時代のPCと同じでメーカーは組み立て屋になっている部分があります。
Appleのようにオールインワンで開発しているわけではないので、彼らのようなハードとソフトが一体化した訴求が難しいのも理解できます。

それくらいAndroidOSの進化が早くて、メーカーも苦労しているとも思います。

ただ昔のPCと同じ発想でスマートフォンを組み立ててるだけではもう世界で勝てないとも思います。他社のパーツを組んでいるだけでは差別化できないですから・・・

差別化のために付けたハード側機能でカオスになってたりもするので、ここをもっと改善して素晴らしい体験に変えられれば国内メーカーも十分魅力的かなあと。

あとアーリーアダプターな方々からはWindwos Phoneの評判が結構いいようなので、おっしゃるようにMSが3強になるように存在感を出せれば面白そうです。

アプリ作る側からしたら大変なんですけど・・(笑)











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